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【DTM】Total Studio MAXをまず勧める理由―Komplete・Wavesと批評比較してレビュー
ごきげんよう。
筆者が大型バンドルのうち何か買うかと検討した結果、バンドル系の中でもコスパが良く、しかも安定しているのはIK Multimediaの「Total Studio MAX」ではないかという結論に至りました。
本記事ではKomplete・Wavesといった他の大型バンドル系を批評も交えて比較しつつ、Total Studioの利点および欠点のカバー方法について述べていきます。
〇筆者のDTMプロフィール
歴:執筆時点で3年半
環境:FL studioにUVI+IK Multimediaが主力
作ったもの(BGM):こちら 古いのが多いですが…
深夜の2時間DTMにも時々参加しています。
目立った実績:特にない(裏では公募曲作ったり同人ゲームのBGM作ってたり色々してますが)
2025 All-in Group Buy
2025年のikmultimedia group buyイベントの概要ページ
作例
Total Studioの強みである「曲の土台」としての音・エフェクトが分かるように、簡単な動画を作ってきました。
前半はTotal Studioのみ、後半はその土台にUVIの1音源だけプラスして、CymaticsのMIDIを鳴らしてみたものです。95%くらいプリセットまんま。
Total Studioの目玉であるMODO BASS/DRUM, オルガン、エフェクトを使っています。ここで聴けるのはTotal Studioのほんの一部分の要素に過ぎませんが、この動画くらいのクオリティの音がすぐに出ます。もっと調整したらもっと良くなります。
主要な大型バンドル3種
比較に入っていきましょう。大型バンドルの代表を挙げると、
〇Komplete
言わずもがなNative Instrumentsのバンドル。Kontaktと強めの音源多数、そこそこエフェクトが付いてくる。後ほどTotal Studioを得意分野の違いなどを解説します。
〇Total Studio MAX
IK Multimediaのほぼ全部入り。音源とエフェクトがバランス良く揃う。
〇Waves Platinum
音源は無いがエフェクト類は大型バンドル系で最強と言われている。
後ほど特大の罠について述べます。
この3つがまず挙がるでしょう。
あとはMelda Complete bundle(高いがアプデ・新製品も全て永久無料)などの各社の全部入りバンドルですが、音源とエフェクトの両方をカバーし、量やレパートリーのあるバンドルっていうとKompleteとTotal Studioの2強だと思います。
Total Studioの概要、いい点
Total Studioが大型バンドル系の中で優れている点として、「音源とエフェクトのバランスがとれている」ことと「安い」ことがあります。
Total Studioに入ってるもののうち主力(黄色背景はTierS、商業レベル)を挙げてみるとこんな感じです。
Total Studioの主要音源
・Sampletank…あらゆる楽器が入っている。主役を張るには物足りないが脇役やレイヤーには最適な感じの、いい意味で目立たない音質。
・Miloslav Philharmonik2…かなり昔のオーケストラ音源。地味だが奏法は一通り揃っていて何だかんだ使える。3出して。
・MODO BASS…説明不要。ベース界で名高い一線級の音源。
・MODO DRUM…BASSに比べるとやや評判が悪いが、無料音源に比べたらずっと良いしエフェクトで化ける基礎性能はある。
・Pianoverse…激戦区のピアノ業界でも一線級のピアノ音源。ソロを張れる。
・Hammond B-3X…影が薄いがオルガンメーカー公認音源なので実は最強。
Total Studioの主要エフェクト
・T-rackS…アナログ再現系が多いが一部オリジナルもあるエフェクトの詰め合わせ。音作りからミックス、マスタリングまで何でもできる。
・Amplitube/TONEX…ギターのアンプ。TONEXは拡張性が凄まじく一線級
一通りに商業レベルのミキシング・マスタリングができる。
全部良いが、テープやリバーブは頭一つ抜けて高評価。
ご覧の通り、音源もエフェクトも若干ピンキリですが一線級のエリートプラグインが入っています。余裕で元を取れます。
Total Studioのメリット:安い
それでいて値段が安いのが2つ目の特徴です。新規購入の価格を並べてみると
Komplete Standard…セール中で4万5千~5万
Waves Platinum…2万(ただし罠あり)
Total Studio…お得なセール中かつ1つでも有料製品(期間限定無料配布でもOKかも)持ってたら2万、普通レベルのセールでも3万程度
と、Total Studioはだいぶ安いです。前述の通り内容と照らし合わせても「安かろう悪かろう」ではないのでコスパは高いと思います。
1つ注意点を挙げると、Total Studioは結構お得・損なセールの差が激しいので、そこはしっかり調べないといけませんが、Kompleteよりは安くなりやすいです。
Total StudioとKompleteの比較:バランスか、音源特化か
大型バンドル同士でよく比較されるのがKompleteですが、正直Total Studioとは比較が難しいくらい色々違うと思います。なお筆者はNative Instrumentsがあまり好きではないのでそれ込みで読んでください。
まず音源ですが、Kompleteは全部ソロに耐えうるくらいには音が良いです。対してTotal Studioはソロまでいける音源は限られており、大体は伴奏向きの音です。
が、音が良いというのはある程度「曲全体に馴染ませにくい」という要素も含んでいるので、その点ではTotal Studio, 特にSampletankの音は伴奏向けに特化しており、大していじらなくてもすぐ溶け込むというのは強みとしてあると思います。
筆者もDTM始めてしばらくは「とにかくいい音質のものを」という方向性でAmpleGuitarやkontaktの無料のやつなどを使おうとしてましたが、total studio(もどき)入手後は「ソロ音源だけ立ってれば後のオケは溶け込ませるくらいでいいな」となり、sampletankを少しずつよく使うようになりました。
曲作りが分かってくると強みが実感できるタイプの音源のように思います。
次にエフェクトですが、Komplete収録のものはミックス・マスタリングより音作り用のものが多数です。対してTotal Studio収録のものもややミックス・マスタリング向けが多いですが、アンプ系やMixBoxなど音作りに向いてるものもあります。
ということで、ざっくり性格を分けると
Komplete→ミックス手前までの音作りのプロ。ミックス以降は他に任せる
Total Studio→0からマスタリングまでいける。生楽器系は得意だが電子系に弱い
って感じでしょうかね。
Native Instrumentsの先行き不安
2026年3月にNative Instrumentsが破産し、inMusicに買収されました。

Native Instruments CEO、ニック・ウィリアムズからのアナウンス | ニュース | Native Instruments(正規輸入代理店)
親愛なる友人、アーティスト、パートナー、関係者、そしてコミュニティの皆様へ 3ヶ月に渡る懸命な努力と、その間の皆様からの並外れたご支援のおかげで、Native InstrumentsがinMusicに買収されることについ...
今後も事業を続けるそうですが、それによってどう変わるかは不透明です。ちなみにNI傘下であるiZotope、Plugin Allianceも道連れに破産、買収されてます。
NI本人はやる気でいますがinMusicの意向次第でKompleteが全く異なるものになる可能性もなくはないので、それを危惧する場合はKompleteを避ける方がよいかもしれません。
Kontaktの衰退、硬直化によるLINE化
Kontaktは今なお圧倒的なシェア率を誇るサンプラーですが、私としてはそもそも今のkontaktにインフラ以上の価値は無く、他のサンプラーに明確に劣っていると考えています。例えるなら、シェア率が高くて使わざるを得ないが極めて不便なLINEのようなソフトです。
現に、かつてKontaktに製品を出していたSpitfire, Eastwest, Orchestra toolsといった企業は、kontaktのライセンス料や性能の限界といった理由から、全て独自サンプラー(spitfire instuments, OPUS, SINE player)に移行しています。あとVienna Symphonic LibraryとCinesamplesと…オーケストラ系ばっかだな?
この理由は明白で、オーケストラ音源の必要とする性能にKontaktのアップデートが追い付いていないからです。
また独自サンプラーを作れない個人~小規模メーカーにとっても、KontaktよりDecent Samplerなどの軽量・フリーサンプラーの方が適しているという事態が発生しており、そちらへの移行も進んでいます(特にPianobookは顕著です)。
今のKontaktは「独自サンプラーを維持できないためkontaktで製品を出す中小企業と、その製品を使いたいユーザーが仕方なしにkontakt税を払っている」という構図に見えます。
Kontakt・Kompleteを買わないという選択も、現在のKontaktの状況を鑑みれば合理的であると私は思います。
Wavesの罠:維持費が事実上必須
Wavesとの比較に移りましょう。
筆者はかつてWavesの無料配布されたプラグインを使っていましたが、罠に気づいてからWavesは一切使わなくなりました。
Waves Platinumは色々な場所でしょっちゅうおすすめされていますし実際それだけの価値はあると思いますが、アップデートに大きな問題があります。
それはWUPというもので、簡単に言うと2年ごとに1プラグイン1000円ほど、MAX数万円払わないとアップデートする権利が失われ、サポート対象外になるという中々エグいものです。
実質、1万/年の維持費用がWavesプラグインを使った瞬間から掛かります。
断じて、Wavesプラグインは買い切りプラグインなどではありません。導入費用のかかるサブスクです。 本当に気を付けてください。
半ばウイルスに近いWUPシステム
更新ならKompleteもTotal Studioもあるじゃん、と思われるかもしれませんが、Wavesについては「アプデ権利が消えるとサポート対象外になる」というのが最大のデメリットです
KompleteやTotal Studioはバンドル自体に新しいものが出ても、大部分の同封プラグインはアップデートされ続けますしサポート対象です。Wavesはサポートしないというのがもう、とんでもない毒です。
例えばKompleteに入っているSession Guitaristというギター音源は最新であるKomplete26以前…10年以上前から入っていますが、別に新しいKompleteを買わなくてもサポート・アップデートされ続けています。WavesはたとえPlatinumを買っても、WUPが切れたらサポート・アップデートされません。
なら古いまま使えばよくね?と思われるかもしれませんが、Wavesには「WavesShell」というWavesのプラグイン全体が入ったOSみたいなものがあり、これが勝手に更新されます。そしてなんと、こいつが互換性に乏しいので、古いプラグインはエラーを吐いたりバグったりする可能性が劇的に高まります。
DAW側での二重認識や読み込みエラー、WUP切れなどで最悪の場合はクラッシュの引き金になるという恐ろしい罠。
なので、アプデしないとまともに使えないか、使えるとしても特大の爆弾を抱えることになります。
Wavesはかつて完全サブスク化のとき大炎上してましたが、それ以前から実質サブスクみたいなことはず~っと続けてます。だから筆者は使いませんし、無料配布もスルーします。
強いて擁護するなら、この罠は「お布施さえしていればメンテが受けられる」ということでもありますが、個人レベルではあまりに過剰です。Protoolsみたいなスタジオ・プロ用途極振りに近い形態なので、個人や趣味で導入するのは全くもって勧めません。
Wavesの導入基準:違いが自分で分かるかどうか
Wavesの音が高品質なのは同意しますが以上のように特大の罠があることから、Wavesプラグインを導入するのは本当に気に入った場合のみにした方がいいでしょう。
例えば1176という有名なコンプをプラグイン化したものはWavesとIK Multimediaの両方に存在しますし、何ならフリーでも存在します。
Waves:CLA-76 https://wavesjapan.jp/plugins/cla-76-compressor-limiter
IK Multimedia:Black 76 https://www.ikmultimedia.com/products/trblack76/
Analog Obsession(無料):FETISH https://www.patreon.com/posts/51962024
これらのプラグインを使って/動画などで比較し「やっぱWavesしか勝たん」という確信が持てないなら、Wavesを導入する意味はほぼ無いと思います。
実際筆者は違いが分からないのでIK Multimediaです。IKも十分いいですし、仮に不満があれば無料配布されていたUADの1176を使いますからね。
DTM初心者の方、あるいは私のような中級者レベルにとっては、エフェクトの聞き分けつかないレベルの優劣で悩み尽くすなら、音源自体に投資した方が遥かに効果的です。特に生楽器は。
Wavesは熱心なファンの方によるベタ褒め意見がよくありますが、上級者や詳しい人がおススメしてるからといって買う必要は、全く、無いのです。現代の多極化した市場でWavesにしかできない仕事はありません。ここを間違えると沼に嵌ります。
環境構築の大切さ:Total Studioを基盤にするという選択
Total Studioも完璧ではありませんが、DAWのみの環境からまず何を導入するかと言われれば、筆者はTotal Studioを勧めます。
音源はKompleteと戦える質で、引き立て役として最適なものです。エフェクトはWavesと戦える質でいて安いです。単純にコスパが良いです。また、IK Multimediaは今のところ経営不安やアプデ問題といったこともなく、安定しています。
音が地味なのも逆に土台としては最適で、主役ボーカル+伴奏Sampletankという布陣はプロのアニソンライターの方にも使われてきた実績ある構成です。アニソンの他にSoulやJazz系で一線級のプラグインが並んでいるので、そっち系を作る人も向いてるかもしれません。
Total Studioの弱点とカバー方法
一方でTotal Studioだけでは電子音(シンセ)・ソロ音源・音作りエフェクトが不十分になります。色々な音楽を作りたい場合はここを補う必要があります。
筆者の場合は電子音適性の高いFL studio付属プラグインやフリープラグインを使ったり、虎の子のUVI(こいつの良さは俺だけが分かってるんだ枠)を活用した環境にたどり着きました。
最初の作例を再掲しますが、前半のTotal Studioのみの土台が優秀なので、後半にUVIの音が大してミックスしなくても綺麗に載るのです。
もしキャラの立つ楽器を沢山使ってミックスに苦労されているなら、エフェクトに試行錯誤するよりTotal Studioなどの地味な音源を取り入れた方が早いかもしれません。
Total Studioを土台とした筆者の環境の例
筆者は逆張り好きなので、日本で使用者が多くて色々バレやすい・被りやすいKomplete+Waves(+Fabfilter)のセットを避け、IKやUVI、FL純正とフリープラグインを使いまわすスタイルになりましたが結構気に入っています。
この辺りは人によりさまざまなので、ぜひ色々試してみてください。フリーも良いやついっぱいあるからね。 筆者の環境や制作過程は時おりDiscordで流しています。
余談:ツール被りを良しとするか
逆張り適性があるかどうかは、創作ツールの被りを良しとするかで結構分かると思います。
全く同じ音源ソフトを使っていても、作曲・音作り・SFX・ミキシング等々は千差万別なので全く違う曲ができますし、個性の無さを意味するわけではありません。
しかしながら音源には「その音源特融の消せない癖」みたいなものが、特に生楽器には濃く存在する気がします。サンプル自体の空気感(部屋鳴り、録音方法、マイクなど)やレガート処理の癖は音源特有のもので、何をどうしても消えないように思います。
実際Total Studio…というかIK Multimediaは「くぐもったシックな音質」と評され、実際そうだと思います。これをキラキラに音作りしても根元のシックさは残るでしょう。まあこのくぐもりが他の楽器との溶け込みやすさを形作ってもいるので一長一短ですけども。
他のDTMerは気にしていない人が大半ですが、私は結構気になるので敢えて脇道を行く構成にしています。
さいごに ~安心する環境を作ろう
Total StudioをKomplete, Wavesといった大型バンドルと比較し、当記事では
音源とエフェクトのバランス・安さ・信頼性という観点から「Total Studio MAX」が最も土台として優れているのではないか
という結論に至りました。
Wavesサブスク化騒ぎ、Studio One買収、NI破産…何かと事件の多いDTM界隈ですので、特に初心者の方にとっては自分なりに安心できる環境を作ることがとても大切だと思います。
他の人の定番を勧める意見に盲従せず、自分の考えを持って環境を作ればプラグインに愛着も沸きますし、自然と曲の個性に繋がるのではないでしょうか。
ただ筆者の環境も完璧ではなく、UVIの動向が最近怪しいので注意しています。代用が効かない企業なので心中するかもしれませんが……中級者以降も見直しは大切です。
あとはTonebooster・Kiloheartsなどの良心的な小さな企業に入り込んでみるのも面白いと思います。よければサーバー付属のDiscordで、お気に入りのメーカーやコスパに優れていて信頼できるプラグインなど教えてください。
本記事はここまでです。ご観覧ありがとうございました!
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