深夜の2時間DTMに2年間ROMっていた筆者が、勇気を出して10回参加し、10曲作ってみました。制約下での作曲方法や企画の雰囲気、交流と作曲訓練という2つの楽しみ方、いいね数と曲の良さの違いなどについて、実体験をもとに書き置きます。
ごきげんよう。
深夜の2時間DTMの存在自体はDTMを始めて1年くらいの時から知っていましたが、「2時間で作った曲なんてネットに出せないよぉ…」と思い、数年ほど参加していませんでした。
ですがDTM歴も3年ほどになって挑戦してみたところ、意外と作れたのでそのまま10回参加し、10曲作ってみました。
当記事では、実際に10曲作った側から、参加してみて分かったことや学べたことを元に
・交流/練習という付き合い方について
・企画における「いいね」の意味について
などを述べます。
ではいきましょう。
実際に作った10曲と振り返り
実際に作った10曲は以下の動画にまとめてみました。BGM代わりにでも流してみたり、適当な所を聴いてみてください。
タイムスタンプと曲の一覧
| タイムスタンプ | お題 | 作った曲 |
|---|---|---|
| 0:10 | 富士山 | 篠笛を主役にしたハーフテンポの半EDM |
| 1:38 | 紅茶 | 弦+フルート+チェンバロを使った英国風BGM |
| 2:55 | 桜吹雪 | 琴+神楽鈴のDnB |
| 4:26 | 爽快感 | ディミッシュスケール+不穏なドラム→長調 |
| 5:28 | 夜の屋上 | 3拍子のハウス系→最後に7拍子 |
| 6:52 | 水の底 | アンビエント→Liquid DnB→回帰 |
| 8:24 | 210 BPM, 4/4 | ティンホイッスル+バグパイプのケルト風音ゲー曲 |
| 9:28 | 祝福 | chiptune+大量の可愛いボイスサンプル |
| 10:28 | メロディックマイナー | 高速Trance |
| 12:00 | 秋雨 | ドローン+アルペジオの環境音楽 |
Xでの実際の参加投稿は以下に。

from:midare_hibikase #深夜の2時間DTM - 検索 / X
筆者が#深夜の2時間DTMに参加した投稿の一覧
めっちゃバラバラですが、なぜこうなったか筆者なりに言葉にすると
お題に合うジャンルを作るのではなく、お題を再解釈して音に変換する
お題に対してその場で制作方法そのものを発見・実践する
風に作ってたのかな~と思います。ジャンルの枠に囚われないというか。
例えば
桜吹雪→「桜吹雪の舞う中で日本刀を振り回して戦っている感じ」→普通の和風曲ではなく和風DnB+神楽鈴・トレモロ琴など
水の底→「流れの変わりやすい川の底」→単に水っぽい音でなく、アンビエントからLiquid DnBへ浮上して、最後にまた沈める
210 BPM→「超高速でも破綻しないケルト風の旋律+音ゲーリズム」→普段の曲を210 BPMにするのではなく、そのテンポに合うケルト風音ゲー曲にする。
という感じ。
それに加えて「曲を作るときは、その曲でしか聞けない部分を作るべきだ」という誰かの言葉が頭に残っており、2時間でもそれを意識していました。
まあそのせいで逆張りまみれになりましたが、結局これが自分で作ってても後で聞いてても楽しいので、この作り方が自分にとっての最適解なのかなと思います。
Xで開催される「2時間DTM」とは?
一応簡単に述べておきます。
2時間DTMは名前の通り、開催1時間前に急に決まるテーマをもとに、基本22時~24時の2時間で1曲を作って投稿する企画です。
開催日時・テーマは以下のXアカウントで告知されます。

深夜の2時間DTM(@2hoursDTM)さん / X
深夜の2時間DTMの告知アカウント
約10年前から長期運営されています。
2時間DTMはゆるい催し
筆者がすこし勘違いしていた部分ですが、これは曲の完成度を競う大会ではありません。
お題に合わせて短時間で何か作り、同じ時間帯に参加している人たちの作品も眺める、ゆるい催しです。大会ではないので参加しやすく、交流もしやすいでしょう。
参加者は実に様々で、10秒ぐらいのものを投げる人がいれば、ピアノソロでゴリ押す人もいます。未完成らしきものをそのまま出す人が居れば、どんなお題だろうがモジュラーシンセ一本で頑張る人も居ます。プロっぽい人にも初参加の人にも、あらゆるものに暖かい”いいね”が付いていました。
自分が実際に2時間で作ったものと他の人の発想・アイデア・方向性を比べると、人によって全然違うんだなぁと思ったり、その手があったか…とぐぬぬったりします。
2時間縛りの”迷えない”作曲訓練
2時間で1曲作る場合、当然ながら細かいところをすべて完璧にすることはできません。気合いを入れられるのは精々一か所で、「何を魅せ場にするか」が、2時間でも退屈しない・面白い曲作りに必要だと感じました。
コード進行を考えるのか
音色を選ぶのか
構成を凝るのか
ミックスに時間をかけるのか
選択肢は沢山ありますが、2時間DTMでは「一番力を入れるべき部分」が自ずと決まります。そこだけ作ってしまえば、後は数十分で他を埋めるだけです(それも大変なんですが)。
これは通常の制作でも必要な判断ですが、2時間DTMでは強制的に、瞬発的にそれをやらされます。手を入れるべき場所と抜いてもいい場所の決め方、そして「案外どこか手を抜いても普通に聴ける曲になる」という経験を得られました。
2時間DTM作品のプロジェクト画面。
テンプレを用意してはいるものの、大して分類せずに勢いで置いてる。
クリップ名もDafaultになってる。
もし全てを均等に完璧に作ろうとすると、「その曲でしか聴けない部分」≒魅力の無い音楽になってしまう可能性があると思います。別に悪いことではないのですが、折角作るなら2時間でも面白い曲を作りたいので、筆者は自己ルールを設けて貫きました。
打ち込みを頑張るのが多数派だが、筆者は音色を頑張った
2時間DTMの参加作品を見ていると、メロディーやコード進行を頑張っている曲が多い一方で、楽器や音色は比較的ポピュラーなものにまとまっていることが多いように感じました。
先ほどの話に照らし合わせれば、音色を妥協して旋律に力を入れる感じです。
一方で、筆者は音色選びにむしろ時間をかけています。篠笛、琴、神楽鈴、ティンホイッスル、バグパイプ、チェンバロ、ボイスサンプル、ドローン系など…テーマに合いそうな音を探して「これとこれとこれだ!」って感じでズバズバ入れます。
実際の制作画面。楽器をポンポン、名前を整える暇もなく投入している。
MIDIも未整理で、どの楽器がどのMIDIを鳴らしてるか分からん。
その代わり楽譜的な完成度は犠牲になってると思いますけどね。こういうところもまた逆張り要素。
10作目「秋雨」:メロディーを薄くし、音色だけで空気を出す実験
特にこの音色選びの要素が強く出ているのが10曲目の「秋雨」です。
↓秋雨から再生します
これまでの曲はメロディー(と声ネタ)が比較的ちゃんとあったので、敢えてそれを抜いてみることにしました。
この曲の制作では、Falconに入っていた変わったプリセット・シーケンサーを使ったり、プリセットのアルペジオからMIDIだけを書き出してピアノに転用したり、同じパターンでも配置をずらして別のフレーズのように聞かせたりしました。
いずれも最初から決めていた手順でも手癖でもなく、音源を触っているうちに即興で思いついたものです。
こうした作り方は再現性が低く、毎回うまくいく保証もありません。ぶっつけ本番、果たして2時間で形になるのかハラハラです。ですが終えてみれば、普段なら使わない機能や素材が何だかんだ良い感じに核になってくれました。
2時間DTMでメロディーの無い楽曲はかなり少数派なので、メロディーが無いこと自体を「その曲にしかない部分」と捉えて主軸にしました。残りの時間でオートメーションによる展開作りを頑張り、後は簡単なリズムやSE配置,ミックスを行って完成。
こういう実験成功体験があると、時間制限が無い時も実用できるテクニックになりそうです。
これまでアンビエントな曲はほとんど作ったことがありませんでしたが、自分では結構満足しましたし、アンビエントの面白さを感じられたように思います。
2時間DTMとの付き合い方
2時間DTMには、大きく分けて二つの付き合い方・楽しみ方があります。
自分の訓練に使うことと、横の繋がりを作ることです。それぞれ内向的・外向的で反対のように見えますが、別に両立してもいいですし、どちらかに振り切っても構わないと思います。
横のつながりを作る・仲間を増やす
2時間DTMでは参加者同士のいいねが盛んです。同じ時間に同じテーマで作ってるので自然と仲間感覚が生まれ、他の参加者と交流しやすいのです。
SNSで音楽仲間を増やしたい人にとって2時間DTMはかなり有益だと思います。
筆者はこの目的では使っていませんでしたが、たま~に自分に似た少数派のアプローチを取る人が居て、面白いなと思ってフォローしたりしてました。
自分の訓練として使う
筆者は主にこちらですが、自分の訓練に使うスタンスです。
テーマが出たら曲を作って投稿しますが、それで終了です。無理に他の人の曲を聴きに行ったり、営業目的で大量にいいねを付けたり、交流関係を広げたりはしません。
この使い方でも、2時間という制約から得られるものは前述の通りかなりあります。
練習する際は、
・いつも使う楽器を封印してみる
・普段使わないテンポにする
・癖の強い飛び道具エフェクトを主軸にしてみる
・予めジャンルを決めるが、テーマに合わせて原型がなくなるくらいアレンジする
といった小さな挑戦をしてみると面白いと思います。
筆者的には、得意で作り慣れてるジャンルで行くよりも不慣れなものに挑戦する方が作りやすかったです。得意ジャンルだと無意識にガチってしまって時間がなくなるんですよね。作り慣れてないものは手の込めようが無いので、逆に早く終わります。
自分の目的をざっくり決めておくとよい
筆者は参加したてのころ、この2つの違いを認識できておらず悩んでいました。正直、練習目的で参加したら「こんな曲が100いいね?自分のは20いいねなのに」と思っていたりしました。実際は交流をよくする人の作品で、営業いいねのお返しが集まっていたり、単にFFが多いだけだったりするんですけど。
中盤くらいから筆者は「自分から営業はしない。参加者からいいねされたらその人の作品を見に行って、良いと思ったらいいねする」というスタンスに割り切り、気楽に参加できるようになりました。
自分が何を目的に参加するのかを決めておくと精神的に良いと思います。人の数だけ様々な関わり方がありますから。
「いいね」・反応の多さについて
Xで開催される企画なので、参加ツイートには当然いいねやリポスト等の反応が返ってきます。
そのいいねの意味は様々で、同業者の営業いいねもあれば、聴く専門の人のいいねもあれば、フォロワーさんの純粋ないいねもあります。
SNSで付いた「いいね」の数は、曲の点数ではありません。
なので他の人の投稿と比べて、自分の曲のいいねや反応が多い/少ないで一喜一憂するのはナンセンスです。投稿時間、表示された相手、参加者同士の交流、その日のテーマの人気、自分の他参加者へのスタンスなど、いろいろなものが絡んでるので。
今回参加した中だと、210BPMは普段より投稿数が少なく、同業者のいいねもそれに応じて少なかったように思います。そりゃまあ、210BPMが成立するのってハードコア系・メタル系みたいなかなり限られた方向ですからね。こうした不可抗力も存在します。
作品の完成度だけで反応が決まらない、優しい世界
筆者が2時間DTMに何回も参加する中で、この人毎回いいねしてきてるな~と思うことがよくありました。見に行ってみると、同じく2時間DTMの参加者です。その中には「営業いいね」もあることでしょう。
ですが明確にしておくと、営業的ないいねをすること自体は全く悪いことではありません。SNSの正しい使い方の1つですし、こうしたいいねにも
・参加している人同士でお互いの作品を見に行ける
・アクティブなDTMer同士が知り合える
といった様々なメリットがあります。
交流を重視しない筆者の場合でも、2時間DTMに参加する中で同じDTMerのFFが10人以上増えています。重視すればもっと増えるでしょう。
営業いいねは作品の良し悪しに関わらず付くので、作品自体の評価は分からなくなります。ですがとても優しい世界でもあるんですよね。
DTM関係のFFがほぼ居なかった筆者の2時間DTM初投稿ツイートには30いいね以上付いており、そのほとんどはFF外の同業者や初めて見る人たちでした。
#深夜の2時間DTM 「富士山をイメージした曲」 初参加なのに気づくの遅れて実働80分くらい https://t.co/fw0mNGq1mX
— 乱(みだれ) (@midare_hibikase) February 21, 2026
2時間で作ってみたけどダメだった!でピアノの仮メロだけ投稿している人でも、10いいね以上付いているのを何度も見かけました。「初参加で0いいねだったらどうしよう…」「完成させられなかったら…」みたいな心配はそんなにしなくていいと思います。
未完成といえばうちのDiscord
2時間DTMは未完成であっても暖かく受け入れられる場所ですが、当ブログのDiscordでも完成していないことを大切にしています。
当ブログに付属している公開Discordサーバーは「様々な未完成を持ち寄ること」を主目的にしています。もちろん楽曲もその1つですし、音楽以外も色々置かれています。興味がありましたら覗いてみてください。

付属Discordサーバーの紹介
「ごちゃごちゃ放牧サーバー」は、話す人よりも「話している内容」を大切にし、各々が好きなことをしている「途中」を持ち寄ってゆるく流す、キャンプ地のような場所です。
異質な8作目「祝福」への反応
反応の内訳が面白かったのは、8作目の「祝福」というテーマで作ったものですね。chiptuneを土台に可愛い「褒める系」のボイスサンプルをひたすら大量に使った、中々カオスで説明しづらい曲です。
↓祝福から再生します
筆者は営業的ないいねをほとんどしておらず、正直こんな曲は参加したテーマの2時間DTMで見たことがなかったので、果たしていいねがつくのか疑問でした。
結果として、20時間ほど経った時点で27いいねほど付いていましたし、その中には2時間DTMに参加していない人もかなり(半分くらい)含まれていました。
#深夜の2時間DTM 「祝福をイメージした曲」 おめでとうパーティーなので祝福 https://t.co/tV7RN0MPtf
— 乱(みだれ) (@midare_hibikase) September 21, 2026
こうしたことから、尖った作品でも参加者以外の人に届き、反応されるのだなと分かりました。
なので、2時間DTM全体ではポップスが主流ではあるものの、別に自分の出したい曲を出せばいいと思います。
余談ですが、祝福を「収穫祭」と解釈してケルト風の賑やかな作品を作ってるのを見かけた時は、俺の得意分野…!ってぐぬぬりました。
10曲作って満足したので一旦離れることにした
10曲作ってみて、2時間DTMからは色々学ばせてもらいました。ですがこれ以上続けてもあまり得るものは無いなと感じ、一旦やめることにしました。
今後は2時間DTMで学んだことを、時間を気にせず作りたい曲に活かすことにします。創作スピードが上がってるといいですね。
2時間DTMはそのうち参加できたらまたします。
まとめ:交流にも練習にも、2時間DTMは有用
2時間DTMに10回参加して10曲作って感じたこと・学んだこと、そして”いいね”の扱い方についてでした。
筆者が2時間DTMに参加して一番残ったことは、空白のプロジェクトを恐れずに音を選び、組み立てるという即興力と勇気です。これをDTM力というのか分かりませんが、もしそうならDTM力が上がってることでしょう…多分。
2時間で人に見せられるものを作るってやはり難しいですからね。筆者は2時間DTMに堂々と参加できることをDTM上達目標の1つにしていたので、それが叶って良かったです。思っていた以上にゆるい空間でしたが。
では、この記事はここまでです。ご観覧ありがとうございました!
